2021年のマンガ大賞受賞作「葬送のフリーレン」(原作 山田鐘人、作画 アベツカサ)の1話ごとのストーリーです。2023年のアニメ化も決まりました。
葬送のフリーレン【79話】トーア大渓谷
北部高原トーア大渓谷へと訪れたフリーレン達は立ち往生していました。
底が全く見えない、深く切り込んだ渓谷。ここは三千mの深さがある、この大陸で最大の深さを誇る渓谷だとフリーレンは言います。
吹き荒れる風に、吸い込まれそうな崖と、進む事は容易ではない大渓谷を、どう渡れば良いのかと、シュタルクは悩みます。
飛行魔法で向こう岸へと渡る事は容易ではなく、むしろ飛行魔法で飛ぼうとすれば、風に吹き飛ばされてしまうのは明白でした。
フリーレンは言います。
上流の方まで行けば渡河は可能だけれど、その為には険しい山岳地帯を抜ける事になるので、かなりの大回りになってしまう事。
逆に下流は海に面した場所であり、そこも渓谷と同じ様に三千mの断崖絶壁である事。
この大渓谷を越えるには、二週間はゆうに掛かると言うフリーレンは、話しながらある事をふと思い出します。
もうそろそろ出来ているかもしれないと、フリーレン達は渓谷の上流へと目指し始めました。
進んでいくと、そこにあったのは大きな橋でした。
渓谷を跨ぐように掛けられた、強固な橋。
それを見たフリーレンは、もう出来たんだと、作り主であるドワーフのゲーエンと出逢います。
200年前からここで橋を作っていたと、説明するフリーレンの言葉にシュタルクは驚きます。
これには当のフリーレンも驚いており、こんな立派な橋が完成していたのなら、既にここは交通の要所になっていた筈なのにと、周囲を見回すも、人影は何処にもありません。
噂にもなっていないのは何故だろうと首を傾げるフリーレンに、ゲーエンはその理由を語ります。
大型の鳥の魔物が翼で魔法の強風を起こし、この橋を渡ろうとする人間を飛ばし、谷に落としているとの事でした。
言う傍から飛来してきた鳥の魔物をフリーレンはすぐに魔法で殲滅しますが、再び魔物が現れて上空を旋回していました。
ゲーエンに寄れば、近くに巣を作り、幾ら倒しても再び出てきてしまうのだと、頭を悩ませる問題を語ります。
幸いな事に巣はこちら岸にあり、その巣をフリーレン達に何とかしてもらえないかと、討伐を依頼するゲーエン。
フリーレンは報酬はと訊ね、フリーレンのことを知っているゲーエンは、パンケーキを上手にひっくり返す魔法の書かれた魔導書を報酬に差し出し、フリーレンは快く引き受けます。
豪華な朝食が食べられると意気揚々と依頼を引き受けたフリーレン。
険しい渓谷を越え、魔物達の巣へと向かいます。
そんな中で何でゲーエンは、あんなところに橋を作ったのかとシュタルクはフリーレンに訊ねます。
それは後悔から来る行動でした。
ヒンメルと共に旅をしていた道中、通りがかった時は橋は未完成でした。いつ完成するかと訊ねると、ゲーエンはもう無理だと諦めていました。
建設費用がなくなり、材料も買えず、橋を作る事を諦めてしまったゲーエン。
しかしヒンメルは、とある貴族から宝剣を取り返した折の莫大な報酬をゲーエンに渡し、橋の建設費用に使って欲しいと言います。
しかしゲーエンは断ります。
これだけあれば確かに橋は作れる。しかし、完成するのはヒンメルが死んだ後の事になると。
彼が生きている間に橋を完成させる事は出来ないため、突き返そうとするも、ヒンメルは言います。
対価はフリーレンが受け取ってくれると。
千年は保つ様に作ってくれと言うヒンメルの言葉に、ゲーエンはそれ以上は何も言わずに、ヒンメルの資金を受け取り、橋を作り上げたのです。
未来に繋がる為にと、その投資を与えられたゲーエンの約束は見事に果たされ、後は邪魔する魔物を倒すだけだと、魔物の巣へと到着したフリーレン達。
そして魔物を討伐し、橋は解放されたのです。
橋が自由に通過できるようになると、これからは多くの人が利用するだろうと、喜ぶゲーエン。
かつて橋が無かった為に、故郷の村を魔族に襲われ、助けを呼びに行く事が出来ず、村を失った過去。
もう二度とそんな想いをしたくないと誓いながら、橋を架けたゲーエンの想いは果たされたのです。
報酬の魔導書を受け取り、これからどうするのかと訊ねるフリーレンの問いに、村でゆっくりと老後を過ごすと言うゲーエンは、仲間と共に橋の完成を祝います。
200年も経てば、新しい村が出来ると、夢を叶えたゲーエンに見送られながら、フリーレンは橋を渡りました。
続きはこちらからどうぞ
葬送のフリーレン【80話】聖雪結晶>>>
「葬送のフリーレン」はAmebaマンガで読めます。
コメント