知床遊覧船所属のKAZU1(カズワン)が航行中に消息を絶ちました。救助活動が続いています。この遊覧船は「しれとこ村」という総合グループの一環でした。社長は桂田精一(かつらだせいいち)氏です。
この記事では桂田精一社長とはどういう人なのか追っていきます。
桂田精一社長の会見「土下座はポーズ」知床遊覧船事件しれとこ村
桂田精一社長の家族「妻と小さい女の子がいる」知床遊覧船事件しれとこ村
桂田精一氏は知床遊覧船の社長「芸術家きどり」
桂田精一社長は”しれとこ村”というグループの代表取締役です。”しれとこ村”は4つのホテルを含む知床では有名な会社でした。茨城の高校で陶芸を学んだ桂田精一社長は東京でスポンサーもつき、陶芸家として個展を何度も開くような芸術家になってました。
2005年に故郷の知床に戻りました。一因に結婚と離婚があったと言います。実家の旅館業を手伝いながら過ごしました。2016年に、それまで代表取締役をしていた父・桂田鉄三氏から”しれとこ村”の経営を任されます。ここから桂田精一氏が社長になったのです。
画像はツイッターのアイコンです。細かい作業をするのに老眼が辛く眼鏡のかけかえも面倒だった模様です。私も経験ありますが、老眼になるとピンポイントで僅か1㎝くらいの見える距離を外すと、ぼけてしまうのです。メガネは必需品になります。
桂田精一社長は2年前からツイッターを始めていますが、ツイートは一つもされていません。しかしフォローしている人は結構いました。その中に
という人がいました。調べてみると本を何冊も出している経営コンサルタントです。この方がダイヤモンドonlineのインタビューの中で、自分の経歴の具体的成功事例として、しれとこ村の桂田精一社長の事を語っていました。
【追記】ダイヤモンドonlineの小山昇さんの該当ページが削除されました
知床遊覧船の事故(4月23日)を受けて25日に削除された模様です。小山さんからの要請だったのかはわかっていません。しかし削除されたことで、ここで語られた”知床の社長”の”桂田精一”氏はまぎれもなく、今回の”知床遊覧船””しれとこ村”の社長桂田精一氏のことであると裏付けがとれました。
【追記】ダイヤモンドオンラインの記事は4月29日復活掲載されています。
以下の文章は掲載時のものとなります。
2017年夏、私は妻と世界遺産の知床に行きました。
宿泊は、経営サポート会員でもある有限会社しれとこ村(北海道、旅館業)。
いい宿ですが、桂田精一社長は有名百貨店で個展を行うほどの元陶芸家で、突然ホテル経営を任され、右も左もわからないド素人。
運よく何もわからないから、小山にアドバイスされたことは「はい」「YES」「喜んで」ですぐ実行した。
知床観光船が売り出されたとき、私は、
「値切ってはダメ! 言い値で買いなさい」
と指導した。
世界遺産のなかにあるホテルが売り出されたときも、
「買いなさい。自然に溶け込む外壁にしなさい」
と指示した。
すると、赤字の会社があっというまに黒字に変わった。
ただ、ところどころでもったいないところがあった。
“運よく何もわからない”といわれてしまっている桂田精一社長。桂田精一社長は陶芸家でしたからホテル経営はど素人だったのです。東京の有名デパートで個展も数回…というので、三越、高島屋、伊勢丹、松屋、西武を調べましたが、桂田精一社長の名前を確認することはできませんでした。
しかし小山昇さんのツイートに
しれとこ村の桂田社長は、陶芸家で、東京のデパートで何回も個展を行なっていた。ホテルのアッチこっちに陶器が置かれていて違和感があった。3歳から、絵を描いていた。突然、ホテル経営を任されたから経営はど素人です。感性が良いから、結果が出る。観光船と桟橋は、社長になってから買い取った。 pic.twitter.com/9LL9g6zuPf
— 小山昇 (@KoyamaNoboru) July 24, 2017
文脈からこの写真の陶芸は桂田精一社長の作品でまちがいないでしょう。武骨な中に力強いものがあります。幼少より絵も描いていたとのことですから芸術肌で、経営とは真逆な世界に生きていたのでしょう。その桂田精一社長が何故ホテル経営をしなくてはいけなくなったのかは、判明していません。
桂田精一社長は小山さんのアドバイスを忠実に守ってきたようです。売り出された知床観光船も言い値で買い、世界遺産の中のホテルも購入しています。
北海道知床で「世界自然遺産の宿 しれとこ村」と「国民宿舎 桂田」、「shiretoko HOSTEL hanare 」の3館、並びに「知床遊覧船」を経営する有限会社しれとこ村(所在地:北海道斜里郡斜里町、代表取締役社長:桂田 精一)は、2018年6月、北海道斜里郡斜里町岩尾別温泉に「ホテル地の涯」をリブランドオープンいたしました。
世界遺産自然遺産域内に建ち、日本最北東宿泊施設という特徴を活かし、自然と人の融和を目指した施設コンセプトといたしました。
現在、自然遺産内の規制は、非常に厳しくなっています。そのような状況で新たに建物を作ることが難しい場所に、「ホテル地の涯」は建っているため貴重なホテルといえます。
桂田精一社長は何もわからないながらも、一つ一つアドバイスを素直に聞いていったものと思われます。しれとこ村も大きくなり、桂田精一社長も成功体験が自信につながったのでしょう。
しかし畑違いだったとはいえ既に5年以上は社長をしています。今回の事故について黙認はできないはずです。
【追記】小山昇氏はコンサルを降りていた
4月28日の”ゴゴスマ”のフリップ情報で桂田精一社長が受けていたコンサルの小山氏について「元コンサルをしていた人」と紹介されました。2016年の”知床遊覧船を事業ごと丸ごと買い上げ””世界遺産の中のホテル買収”以降は 表立ったコンサルの実績は見えていません。
桂田精一コンサルは小山昇氏「関係ないと言わんばかり」知床遊覧船事件
桂田精一社長の”観光遊覧船”は北海道旅客船協会に未加入
桂田精一社長のしれとこ村グループである”観光遊覧船”は北海道の旅客船協会に名前がありません。
今回の出港も近隣の同業が4月29日のGWからクルーズを始めることにしていたのに対して、桂田精一社長の”知床遊覧船”のみが1週間早く始めていました。
しかも事故のあった23日が初回の運行でした。周りの同業社も波の高さから出航をやめるよう進言していましたが、強行されました。
知床遊覧船所有の「KAZU1(カズワン)」は2022年4月20日の国交省による船舶検査はパスしていました。かなり細かく検査するので、2月現在にまだあった亀裂は修復されていたはずだと識者は話しています。
しかし過去に2021年5月15日に海上の浮遊物(ロープの固まり)に衝突し乗客3人軽傷。6月11日は浅瀬に乗り上げるという事故をおこしています。この2件では浸水はありませんでした。
【追記】
この6月の座礁事故の時に船に乗っていた人の証言があります。この時は自力で港まで戻っています。
この「泣きながら」というのは責任感からでしょうが、社長の叱責も想像したのではないでしょうか。
過去に尻もち事故を起こしていた日航機墜落事故を出すまでもなく、修理を完全にすることは安全の基本です。知床の遊覧船クルーズは人気がありますが、この事故を受けてGW中の運行を中止することになってしまいました。
【追記】観光船の自粛は5月末までに延長と発表
知床小型観光船協議会が5月4日に発表しました。理由は「安全対策の優先」の為です。以前は小型観光船は海が落ち着く6月からの運航になっていました。集客面と大型船にはない近くまで寄れる利点で人気が出て、近年はGWからになっていました。元に戻した形です。
私も海は怖いです。湖周遊の船だとしても常に陸地を意識して、「あそこまでなら泳げるかな」と考えるようなビビリです。知床の流氷船に乗ったことがありますが、見渡す限り海しかない海原に出ると、もう諦めるしかないと覚悟を決めて何とか楽しもうと試みた覚えがあります。
日頃船など乗ったこともない人にとっては、信じるしかないのです。
桂田精一社長の家族「妻と小さい女の子がいる」知床遊覧船事件しれとこ村
桂田精一社長の顔画像「経営コンサルタント任せ」
知床遊覧船の桂田精一氏の前の社長は、慎重には慎重を重ねて運航を判断するような人だったと報道がありました。桂田精一氏が事業を買い取って社長になったのは平成28年(2016年)のことです。小山さんの経営サポート会員には経営塾の流れでなっていたのでしょう。
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【追記】桂田精一社長の知床遊覧船は1年前スタッフ総入れ替え
新型コロナウイルスの影響もあって、経営が不安定だったと別の観光船事業者が語っています。スタッフが次々と入れ替わり、2021年5月と6月の事故はその直後でした。
桂田精一社長が「金がない」とよくもらしていた証言があります。多角的経営で資金は火の車になっていました。2020年には「銀行から金が借りられない」状態だったと言います。
人件費の高いベテラン船員を解雇し、教える人もいない新しいスタッフでの運営。経営第一で船の事はまるで知らない桂田精一社長。送迎バス運転手だけでなく、船長ですら募集していました。しかも1日8000円です。
同業者によると15000円~20000円が最低相場で、このことからも桂田精一社長が、知床遊覧船の事業に資金をかけたくない(海の事は無知)というのがわかります。
2021年3月までKAZU1の船長をしていて解雇された元船長は
需要があるから前倒しして、儲けようと思ったのでしょう。
【追記】桂田精一社長が代表の小型観光船協議会で2年前にクラファン
コロナ禍の経営不振は桂田精一社長の知床遊覧船だけでなく、他3社と合同で2020年に知床小型船観光協会としてクラウドファンティングを立ち上げ目標達成しています。
https://camp-fire.jp/projects/view/282112
ここで集めた資金の使い道はこちらです。
●事務所の家賃
●お客様用駐車場の使用料
●人件費
●リターン品の制作費・送料
●クラウドファンディング決済手数料
桂田精一社長の知床遊覧船は船舶の維持管理に使わなかったのでしょうか。
大型船と違い小型船は違いを出すために、ヒグマが発見されればすぐに近くまで船を走らせたり、右と左の客席で差がないように、方向をこまめに変えたりして、大型船にはない小回りの良さをアピールしていました。
このような操舵は熟練がいる行為だと地元関係者は語っています。今回のKAZU1船長は知床に来るまでは、湖の運行に携わっていたそうです。同業者に危なっかしいと見られていました。だからこそ風速3メートルの当日、「辞めた方がいい」とアドバイスをしたのでしょう。
一般的に小型観光船の場合、風速は1.5メートルまでと言われています。差別化が無理な運航に繋がった可能性は否定できません。
【追記】桂田精一社長が被害家族に謝罪
24日夜、知床遊覧船社長の桂田精一社長が、乗客の家族や親族とみられる二十数人に事故の状況を説明、謝罪しました。家族側からは厳しく責任を問う声が上がったと同席した馬場隆町長が明らかにしました。
町長が同席していたことから、桂木精一社長は町議も?という噂がありましたが、斜里町の町議会議員に桂田精一氏の名前はありません。ただ一般企業の謝罪に町長が同席していることから、桂田精一社長が地元の名士ではないかという声があります。
桂田精一氏は複数組織の役職についていた
【追記】桂田精一社長は25日から1日3回の説明会に参加
海上保安庁が行方不明の方の家族の為に1日3回の状況説明を始めました。10時、13時、17時に行われます。一回は1時間以上かかっています。桂田精一社長の一回目参加が報じられました。一回7~8家族が参加しています。場所はしれとこ村内、Siretoko village(知床ビレッジ)です。
「ゴゴスマ」によると「船首が浸水、エンジン止まる」との第一報の状態は
- エンジントラブルがあって動かなくなり座礁、風に流された
- (前方の亀裂から?)水が先に入ってきてエンジンが止まって流された
が考えられるそうです。
エンジンが止まると船は、何度も波にたたきつけられる感じになり(木の葉が舞うとかの軽いものではない)当時の風速は9メートルにもなっており、波は壁に感じる高さです。(出港時は3メートル)
前方に30度傾いたということは逃げるのはほぼ不可能で、早い時間で沈没しただろうと思われます。携帯電話は知床岬ではほぼ圏外であることもわかりました。
海に対して無知で、経営の効率第一にグループを運営してきた桂田精一社長の責任は計り知れません。
【追記】第一報は乗客の携帯電話でかけられたと判明
携帯キャリアでは唯一docomoだけが海上でも繋がることがわかりました。”KAZU1″は事務所の無線アンテナは壊れていて繋がりませんでした。船での通信手段としては衛星電話が主流ですが”KAZU1″にはありませんでした。
事故の3日前に行われていた国交省の検査で”KAZU1″は合格していました。その折、通信手段は「衛星電話ではなく携帯電話で行う」と申告しています。国交省は「携帯電話は繋がるのですね?」と問うただけで確認はしていませんでした。
豊田船長の携帯はauで繋がりません。当日「甲板員の携帯がdocomoだったらいいな」と出航前に話していました。甲板員の曽山聖さんは船に乗るのが、初めての日だったことがわかっています。船長自ら、連絡手段の重要性を考えていなかった発言です。
事故に遭った時、無線を傍受したのは同業他社であり、海上保安庁が船から受けた第一報は豊田船長、曽山甲板員の番号ではなかった為、乗客の携帯電話を豊田船長が借りてかけたものと思われています。
船の上では連絡手段は命綱です。複数出航の原則も守らず、まともな連絡手段もない。桂田精一社長は船について無知で、必要なメンテナンスを訴えても「高い。本当にいるのか?」と出し渋っていたそうです。
【追記】桂田精一社長が安全規格規定に違反があったと認める
4月27日に乗客の家族とマスコミに合わせて5時間あまりの謝罪会見をした桂田精一社長。その折「安全規格規定」に違反はしていないと否定していました。
桂田精一社長の会見「土下座はポーズ」知床遊覧船事件しれとこ村
しかし、5月3日に安全規格規定に違反していたという主旨の文書を乗客の家族に配布していたことが分かりました。
桂田精一社長は 豊田船長に連絡をとるように指示をしていませんでした。自らも妻の出産に伴う退院で片道90分はかかる北見市に迎えに行っていたのです。
この点について「運航基準どおりに運航していれば、事故を回避できた可能性はあった」
【追記】定点連絡は日常的にやっていなかった
報ステが5日、昨年10月の定点連絡の書類を公表しました。3時間コースだと5カ所ほど時間の報告を事務所にしなくてはならないものが、空欄だらけでした。
桂田精一社長も日頃から運航中に事務所に詰めていることはほとんどなかったと従業員が証言しています。
【追記】桂田精一社長の会見前日の音声が報道
4月27日の謝罪会見の前日に知人と話していた音声が報道されました。
- 弁護士から止められていたけど、とりあえず謝罪(会見)はする
- 事実関係がわかっていないから 謝るだけになっちゃうけど
- 保険は入っているので一人1億円とか出してもまだ余るので問題ない
- (自分の)逮捕はない。基本的には(弁護士と相談しているから)
保険は今年になってから、一人3000万だったのを1億出るものに変更していました。
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