数ある悪役令嬢・転生ものの中でも異色で大人気の「悪役令嬢転生おじさん」【12話】のあらすじ(ネタバレ)と感想です。
悪役令嬢 転生おじさん【13話】オーヴェルヌ公爵
オーヴェルヌ公爵家は王族に次ぐ力を持つ一族として知られており、絢爛豪華な広大な庭園と使用人を抱える大貴族です。
そんな大貴族の一人娘であるグレイスですが、自室のソファの上で扇子と杖を二つ持つとかさばるのよねと真剣に頭を悩ませていました。
メイドのジョゼットに良い方法がないかと訊ねますが、彼女も困ってヴァルツ親方にでも相談したらと言いかけたとき、ドアが開けられました。
グレイスの父親であるレオポルド・オーヴェルヌ公爵が戻って来たとの知らせでした。
財務大臣であり、この国の貴族社会のトップである人物と貫禄ある姿に敬意を持つグレイス…(の中にいる憲三郎)ですが、
オーヴェルヌ公爵は52歳の憲三郎よりも年下の45歳なので、複雑な罪悪感を抱いていました。
2か月ぶりの娘に逢い、嬉しそうにする父親は、グレイスに贈り物があると、執事のセバスチャンにある物を持ってこさせます。
口をもごるセバスチャンの様子など一切関せず、オーヴエルヌ公爵は上機嫌です。
贈り物は・・・木馬でした。
グレイスは5~6歳の頃は木馬に乗って遊ぶのが大好きだったと憲三郎は思い出します。しかし
現在グレイスは15歳のレディです。
執事のセバスチャンもメイドもグレイスが怒り出すことを恐れていたのです。
“本来の”グレイスならオーヴェルヌ公爵に向かってどんな馬事雑言を吐いたかわかりません。
しかし今のグレイスの中には憲三郎がいます。
キィキィ…と木馬に手をかけ揺らすグレイス。その様子をセバスチャン以下、皆が息を飲んで見守っています。
ふいにグレイスが手を止め振り向きました。
そして従兄弟のフランソワが木馬が好きである事を想い出してくれたのですね。フランソワは来月が誕生日。流石お父様、よく覚えていて下さった、これは良い贈り物になりますわ
さらに何を差し上げようと(グレイスが)考えていたこともわかっていたのですねと父親を立てるグレイス。
微妙な空気の中で、セバスチャンに自分のプレゼントのはずはありません。そそっかしいわねと冗談のように語るグレイス。
父親がこのように気を使った贈り物をしてくれたことを言い、オーヴェルヌ公爵とセバスチャンの双方の顔を立てたグレイスでした。
使用人達も感嘆のため息をもらし、グレイスへの忠誠度をあげたのでした。
様子を見ていた憲三郎は、レオポルドは確かに貴族として優秀な人物ですが、父親としてはいまいちポンコツ過ぎると、かつて日菜子を育てる苦労をした憲三郎は、同情を禁じ得ませんでした。
オーヴェルヌ公爵とヴァルツ親方
翌日、ヴァルツ親方の元へとジョゼットと共に向かっていたグレイスは、お菓子を持って親方にある物を注文しに向かっていました。
そして彼の工房へと向かう中、庭から何か物音がしました。
せーのっ
ヴゥゥゥゥーン
カッカッカッ
掛け声と何か音がします。
なんと・・・父・オーヴェルヌ公爵とヴァルツ親方がコマ回しで遊んでいたのです。
負けた・・・親方はやっぱ強い
年期が違うわい
2人は笑いながら話します。
ヴァルツ親方とオーヴェルヌ公爵は旧知の仲であり、公爵の気晴らしに付き合ってくれる気の知れた友達でもあったのです。
オーヴェルヌ公爵は娘に気を使わせたと、土産物で失敗した事をヴァルツ親方に呟いていました。
グレイスに気を使われ、失敗をフォローされてと、自分は侯爵が似合わない、やはり所詮田舎の次男坊だと落ち込んでいました。
オーヴェルヌ公爵は田舎貴族の出であり、母の婿養子として公爵家へと入り、それに見合う為に努力をし、今の地位を手に入れた努力の人だったのです。
そんな苦労人である父親の気持ちに触れたグレイスの中の憲三郎は、彼の気持ちに応えたくなり、グレイスとしてオーヴェルヌ公爵の前に出ます。
ずるいですわ。自分だけこんな面白そうな遊びを!
私にもコマ回しを教えて欲しいと、オーヴェルヌ公爵に頼みます。
それを聞いたオーヴェルヌ公爵は照れ笑いを浮かべ、嬉しそうにコマの回し方を教える父、オーヴェルヌ公爵。
そんな彼にグレイスは、田舎の次男坊でも、ちゃんと家族と向き合いながら生きている父を尊敬していると言い、コマを回します。(完璧憲三郎目線!!)
しかしグレイスの余りにも上手過ぎるコマ回しのテクニックに、驚くオーヴェルヌ公爵。
昔取った杵柄と、つい本気になってしまった憲三郎でした。反省…。
悪役令嬢 転生おじさん【13話】感想
グレイスの父親、レオポルド・オーヴェルヌ公爵のお姿がかわいくて!見た目はいかついのにとってもオチャメ。娘グレイスが大好きで喜ぶことをしてあげたいと思っている良き父親ぶりが身に沁みました。
木馬の件では娘グレイスにフォローしてもらったというのもちゃんとわかっているし、いいお父さんです。
日菜子の父親である憲三郎の共感力が爆上がりするのも頷けます。
婿養子で自分には身分不相応だけど、できるだけのことはすると努力を惜しまず、イッパイイッパイになると少しだけヴァルツ親方に気晴らしの手伝いをしてもらい、また日常にもどって頑張る公爵。涙ぐましく微笑ましい人物です。
コメント